価格競争崩壊のメカニズム

                                              2012年9月
価格構成
         
 上図から価格競争による価格(売上高)の低下により利潤以外の諸項目(製造・販売原価)が一定だとすれば利潤が減り利潤率は低下します。また、販売するとき利潤がなくなるほどの価格を下げ販売すれば、当然原価割れとなり赤字となります。しかし、利潤の中には価格・売上高に入らない営業外の損益(投機的な損益や評価損益)が入りますので利潤は販売と関係なく増加減少します。
 それが現在長期的な価格競争によるデフレで、利潤を下げないように原材料・仕入商品、を安くするように安い労賃の海外生産に入り、海外投資で所得の配分が海外に流れ、また、国内では価格の低下で利潤を上げるため労務人件費を下げるので個人の所得が減り、加えて財政削減により消費の停滞で、ますます長期的なデフレとなっているのです。


利潤構成
訂正
 訂正します。上記の利潤構成のうち借入返済は誤りで含まれませんので訂正いたします。詳細は内部留保とバブル処理をご覧下さい
上図の利潤構成は税金や資本家に支払われる配当金と、投資等による借入金(他人資本)の返済があり、 余剰資金がでれば現金等の資産として残ります。しかし、評価利益があると税金が多くなり資金余剰が減ります。逆に評価損があるとその逆になりますが、利潤の絶対額(大きさ)は当然減ります。そして、この中の借入金返済は利潤の増減に関係なく不変ですので、利潤を上げないと返済できなくなるということです。

資金構成


 上図が価格構成の原価と利潤構成の部分が資金構成をつかさどり、上図の利潤の増減で資金需要、供給が決まりますが、この他に製品商品在庫の増加や回収不足での債権がふえると当然資金需要が増え、資金(資本)不足となり資金供給が必要となります。
 以上の利潤が減少または赤字でなくなれば当然、税金・配当金ができなくなり、かつ投資等の借入れの返済が滞り、長期的に借入等の負債が増え続け、そして倒産破産することになります。
 これまで、構造改革の名のもとに価格競争をし、想像を絶する倒産を経験してきました。しかし、まだ、今のままでいれば恐慌当時のように(十五大経済学の中には入っていませんが、供給=需要といっているクラインという経済学者がいるようですが)利潤率の低下が売上げ数量を増そうとするので、需要より供給が上回り物があふれかえり、企業は在庫の増加となって資金需要が増し、利潤の低下が返済不能となり、再び倒産が増えていくでしょう。
以上が、利潤と対価格・売上高比の利潤率の低下による価格競争(デフレ)破綻のメカニズムです。   
 世界大恐慌のときは大量生産による物のあふれでの倒産で失業者があふれ、また国の第一次大戦の戦費での保証もあり資金が行きづまって恐慌に陥ったようです。しかし、ほんとうのところは機械化が進み価格競争での利潤率の低下は大量生産となり、量的に供給=需要ではなく供給>需要となり物があふれて倒産失業で大恐慌に陥ったのです。競争により利潤率の低下が量的生産となり供給が需要を上回ったことを証明しています。マルクスが考察した自由競争による利潤率の低下が資本主義を崩壊させると、まさに世界大恐慌は資本主義の崩壊だったのです。しかし共産国はその大恐慌に巻き込まれなかったことは、まさにマルクスの考察を証明したのです。その恐慌から復活したのは、経済学者ケインズなどんいより資本主義は蘇ったのですが、今の日本をみると歴史に酷似していると思うのです。
 価格競争をするのではなく技術競争は必要でしょう。しかし、これも、調和ある国際関係を築くには当然哲学が必要なはずです。なぜなら競争本能だけではなく人間には他の動物と違って理性があるからです。神が、キリスト教が、経済学哲学の根底にあるのを認識すべきで、アダムスミスの国富論の「神の見えざる手」と資本論1(マルクス・エンゲルス編岩波文庫306p)に表現されています。それはけっして自由放任の経済社会を説いたのではないことを学ぶべきだと思います。また、ケインズの貯蓄投資の所得決定説から発展させたハンセンのデフレギャップや、マルクスを分析したロビンソン経済学などを参考にすべきだと考えます。
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