20166

資本主義の矛盾

自由だ自由主義だ新自由主義だという基に争う価格競争は、価格というものを構成する要素を無視している現れである。

それは、「原材料(間接費を含む)+労賃」+人件費+販売費+家賃等諸経費+金利+利潤=価格という生産物を作り出す各要素を、経営者や資本家が自由の名の下に価格競争をする結果、経営者、資本家要素の(金利+利潤)を除いた各要素をリストラで削ることで、家計所得の減少となり消費に陰りが出てきていたのです。

そして、政治家が経済活性化し消費を上げる為に設備投資をし易く金利を引下げ、それも1999年以降0金利と言っても良い低金利政策を続け、現在は円安誘導による貿易利益や株価等を上げ金融利益を目論みマイナス金利となり、そうして金融利益をあげる事に終始してきた事はまぎれもなく事実です。
それは、負債と資産という貸借の概念からの観点からきているようで、現在の日本は負債が膨大であるが資産も多いので、不安は無いという評論家もいることから資産を増やす為に株価や為替利益を目論み、また輸出増を狙うことで円安誘導を推進したと考えます。しかし、資産と負債の貸借で考るのでは無く、実質の税収(評価利益でない)である損益を考えていないのです。また円安誘導は、為替変動のメリット、デメリットがあること、そして海外との軋轢があることや、国際的にもゼロサムの関係にあることを忘れているようなのです。(日本がプラスになれば外国ではマイナスになる)そして、為替は必ず変動することなのです。例えば2015年3月末は120.11円でしたが2016年3月末は112.58でしたので、103.263円だった2014年度から比較すると2015年3月末では可成りの評価益があったが、2016年3月末は可成りの評価損が有った筈、これが今後100円から105円で推移するとすれば、2016年3月末の112.58を超えなければ、2017年3月期は再び評価損が出る筈なのです。また株価も同じく考えられのです。そのように資産と負債で経済力を考えることは出来なく、あくまで実質的な法人税や個人の所得税の税収を増加させなければならないのです。

要するに生産、再生産をつかさどる人(労働者など社員)を疎かにしてきた政治家や、経営者、資本家等経済家が自由競争を謳歌してきた資本主義は現在岐路に立っているのです。これはマルクスが予言した資本主義の崩壊で、世界恐慌や第二次世界大戦に至った過去を反省していない現れなのです。

自由貿易だと海外に生産基地を設け、産業空洞化を無視して金融利益を上げようと、また公共投資等で経済成長しようとしている。それも、2013年以降2015年まで、80円から120円まで円安に成ったにも関わらず負債が増え続け、未だに0成長に等しい成長で満足している政治家、経済家が多い事に疑問を感じている人が多くいる筈です。

規制緩和と言っている政治家や経済家は、自由主義、新自由主義という概念を一度反省すべきだと思うのです。それは自由の中に規制は絶対にある筈な事を、自由(人権)だ共産(非人権)だと比較対象するのでは無く、規制による経済立て直しが絶対に必要な筈なのです。

以上のように規制なく自由を謳歌している政治家、経済家が労働者など社員を無視し苦しめ経済を悪化させ、1千兆を超える負債を拡大させ続けていること、そして、この十数年40万人に達するような自殺者を出してきて社会を疲弊させていること、これが資本主義の矛盾なのです。「経済は国を治め国民を救う」(福沢諭吉)これこそ政治家、経済家の使命な筈です。