2016年1月
                見失った経済学
                        続き
為替事情から

新年早々相場が混乱し円高になっています。その原因はFRBの利上げだということが考えらます。FRBの金利と中国の金利と比較すると圧倒的にFRBの金利は低く、中国の元が金利自由化になった場合、アメリカ国債を持っている各国が、中国にシフト替えするのではとの懸念材料がFRBの金利上昇を誘発しているのではと考えられます。しかし逆にイギリス等のアメリカからの負債を抱えている国は金利負担になってくることで、利益を上げようと投機的に買ったアメリカ$を手放すことで、借り入れていた日本円を返済するのに円買いで円高になっているのが実情だと考えられます。勿論原油下落に伴う産油国の利益圧迫で、同じように円高になっていることも考えられます。

アメリカの経済は過去の戦費により負債が膨大になっています(下記図参照)、そして民間負債は負債総額の64%だと言われていますので、金利負担が景気に影響しないか、今後どうなるのか?アメリカと日本経済が世界経済のネックとなってきているようです。

今後も対元や投機的な円売りもあるでしょう、まだまだ円の乱高下は続き経済が混沌とすることだと考えられます。勿論中国が本当に金融自由化に対応するのかの政策次第です。よって中国の協力なしに世界金融は荒れ模様になり、金融経済だけでは世界恐慌は必然的にやってくるでしょう。

尚、日本の債務状況を国際比較すると次のようになります。

 

 

債務残高の国際比較(対GDP比)

(%)

暦年

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

日本

136.1

144.4

153.5

158.3

166.3

169.5

166.8

162.4

米国

48.1

50.7

57.4

58.8

66.7

66.8

63.9

64.3

英国

44.1

39.8

40.4

40.6

42.7

44.6

44.2

45.3

ドイツ

59.4

58.5

60.9

64.3

67.6

70.0

68.0

63.9

フランス

71.8

70.9

74.6

78.5

80.2

81.8

76.8

75.6

イタリア

119.0

118.1

116.9

114.3

114.7

117.4

116.4

111.8

カナダ

84.2

85.7

84.8

80.3

76.5

75.8

74.9

70.4

 

暦年

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

日本

171.1

188.7

193.3

209.5

216.5

224.2

230.0

233.8

米国

78.1

92.5

101.8

107.7

110.5

109.2

109.7

110.1

英国

55.2

69.0

77.9

92.3

95.7

93.3

95.9

97.6

ドイツ

67.9

75.3

84.0

83.4

86.1

81.4

79.0

75.8

フランス

81.6

93.2

96.9

100.8

110.5

110.4

114.1

117.4

イタリア

114.6

127.2

125.9

119.4

137.0

144.0

146.9

149.2

カナダ

74.7

87.4

89.5

93.1

95.5

92.9

93.9

94.3

(出典)OECD "Economic Outlook 96"201411月)

※ 数値は一般政府ベース。

(注)本資料はOECD "Economic Outlook 96"による201411月時点のデータを用いており、2015年度予算の内容を反映しているものではない。


上図のように先進各国共に2007年を境に2008年のリーマンショックで、GDPの増加に対して負債が増加していることがわかりますが、特に日本は1996年から始まっています。バブル崩壊前後からGDPの伸びが無くなりバラマキに終始してきた結果だということが言えます。日本が経済を見失っていたことがわかるようです。このままで日本経済がどうなるのか?検討がつかないのがおかしいと思うのです。世界が金融利益だけを求めてきた金融経済学でなく、投資➝雇用➝生産➝消費➝再生産そして再投資➝と繋がり企業は利潤を上げ納税、配当を、労働者等は賃金アップで所得アップそして納税、消費でGDPが増加しバラマキが減り、よって負債が低減することになるのです。海外進出(植民地化)ではこういう循環が無くなるということです。実体経済による利潤が重要だというマルクス、ケインズの経済学を再研究すべきなのです。物(物価)、人(雇用、賃金)、金(金融政策)のバランスなのです。量的金融(マネタリズム)の終焉と言っても過言ではないでしょう。
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