2015年5月             

              為替変動での実体経済

円安による実体経済の影響      



金融で利益を上げようとする風潮は、物価高での経済の影響を考慮していないことが上図でわかるでしょう。すなわち金融で利益をあげようとするあまり消費性向を低下させ、物価高を消費が補えなかったことでデフレ不況になったのです。それは、物(物価)、人(賃金)、金(金融)が調和を保っていなかったのです。
為替はその時、その時がベースになりますので、このままレートが安定すれば物価はそのままになり、為替差益、差損は発生しません。そのように為替が安定すれば、もう金融利益は期待できないでしょう。現在利益があがっているという一部の大企業は、この円安差益や株高による評価利益が主だと考えられます(勿論輸出利益もあるでしょう)、また多くの非正規社員や派遣社員を増加させたのは、価格競争や金融利益のための犠牲になっていたのではと思わせられます。
現在政府や大企業の一部は賃上げをしたようですが、全て消費に回されるかです、また個人の株式投資は益も有れば必ず損もあるのです。低賃金の底上げをしない限り消費は増えないでしょう。景気の気だけでは高額所得者の株式投資などの貯蓄は増えても、消費は増えないということで、日本は競争、競争できた結果、この所得をおろそかにしてきたことが、経済の混迷を来してきたようです。
また、80円から120円まで円安になり(2015年5月現在)、外貨を抱えた国や一部の大企業は大きな評価益となり、また株価上昇での評価益が増えていますが、海外生産輸入物価も50%上昇したことになり、この円安での物価高は、低賃金層(非社員制度)の底上げをする政策を真剣に取り組まないと、消費につながらなく実体経済を停滞したままで、財政赤字で負債は増え続けるでしょう。なぜなら為替レートがこのまま安定し、株価が高止まると、金融利益は期待できなく、それより円高要素や株価も下落する懸念が充分にあるからです。
国民が耐え忍んでいても、政財界、エコノミスト、マスメディアの変化、力、努力がないと、経済の再生はないでしょう。それには国際的な協調協力が必要なはずです。なぜなら為替は自国が利益なら他国は損失なので、物価のことを考えると、円安誘導は日本にとっても他国にとっても不利益なはずです。そして金融利益をあげようとする風潮で0金利近くになっている日本では、為替の安定は自国では無理でしょう。なぜなら、このまま円安が続いていくとしたら、それに対して今の日本では金利をあげ円安を食い止める調整ができにくいからです(膨大な負債の為)また日本が円安を求めているので空売り先物買いで円安になっていることもあるでしょう。よって全て市場に任せるのではなく外国との協力が必要なのです。海外生産基地問題も然りです。

円高による実体経済の影響       

  上図のように、為替の変動である円高でも無策のままだと経済に悪影響を与えるようです。

円高で輸入物価が安くなったとき、円安還元セールなどを傍観していた、いや奨励していたような政治やエコノミストやマスメディアは何だったのかが、今になって思うはずです。日本人はとかく競争という言葉が好きなようですが、それは聖書を知らないからでしょう。
現在一部の企業の賃上げが実施されましたが、全て消費に回されるかが疑問で、報道では今では非社員が40%を超したと言われます。消費が増えないのは物価高と非社員の増加なのです。
円安が80円から120円までになり、この50%近くの輸入物価高を押さえるのは至難のわざでしょう、海外に進出した企業が価格維持の為に現地でリストラや、国内でもリストラ(シャープ等)を行うことがあります。それより海外でのリストラは国どうしの軋轢がうまれて、紛争の種になることが懸念されることが充分にあるのです。

以上為替の安定は物価の安定で、また物価の安定は為替の安定で、為替の動きは実体経済にとって最も重要なことで、且つ価格競争は日本経済を崩壊させることが分かる筈です。それには国の働きかけや調整規制が必要でしょう。
後進国の安い賃金による海外生産基地での生産による価格競争は、日本にとっても国際的にもデフレを誘発するのです。前述の自由放任と、ここでも価格競争(コスト削減競争)は負の証だということが証明されるはずです。
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