2014年11月
                       為替レートと金融                                                                      

 円高、円安は円が強いか弱いかの問題ではなく、為替は金利(国債利回り等)や貨幣量それに政策的に動きます。過去を見ますと日本の金利が0金利を長年続け、量的緩和もあってアメリカなどは安い金利の円を借りてバブルとなり、バブルがはじけたリーマンショックとアメリカの0金利政策で、円の返済となり急速に円高なったのは記憶に新しいでしょう。
 
 会計処理でいえば次の通りです。

 (尚、取引は複数ありますがここでは1例として考えました)


 海外で円を借りて利用するとき
『借 方』     『貸 方』、
  円        円借入金
このときは、為替の変動はない)
 自国通貨        円  
(円を利用するとき、円売りで円安)

 借りた円を返すとき
  円        自国通貨
(返すために円を買うので円高)
 円借入         円  
(返済するので円借入金がなくなる)
                     
 ここで疑問が起こるのは、外貨で返済されたとしたらいうことです。しかし、日本側では円で貸し付けているので、外貨を売って円に変換し貸付金をなくすことになるので、外貨売り円買いで同じく円高になります。このとき数日で為替は変動しますので、日本側でも為替差損益がでます。
 会計処理でいえば次の通りです。

 日本側で海外に貸し付けるとき
 『借 方』     『貸 方』
  貸付金         円
 (海外への貸付金、為替の変動はない)
          
 (現預金勘定)

 外貨による貸付け返済を受けたとき
 『借 方』     『貸 方』
   外貨         貸付金
(外貨による受入、為替の変動はない)    (外貨預金勘定)

   円          外貨  
(外貨を円処理、このとき円高)
 (現預金勘定)
     (外貨預金勘定)
       
(尚、外貨預金勘定とは、外貨で受け入れたとき外貨通帳に記入されますが、そのときのレートで円換算し会計処理しますので、その時と後日現預金勘定で処理した時の差が為替差損益になります)

 上記の外貨を受入れたとき外貨預金勘定で円で処理しますが、即円変換すれば外貨預金勘定でなく、現預金勘定で貸付金をなくすことになります。(参考までに、外貨預金は期末決算でそのときのレートで円換算し直し、外貨預金勘定として円で決算計上しますので、換算し直す前の外貨預金勘定の円との差で評価損益が発生します)
  
 金融機関などや政府が政策的に海外に外貨での返済を求め、円変換をしないで外貨のままで置いとけば円高になりません。しかし、いずれ円高による利益を上げようとする海外投資家など、円高で借りていた円を円安で返済して利益を得、同時に円安で円を買いまくり円高ににして売れば利益になるので、そうは簡単に円高阻止はできないはずです。そいう円高の要素があることを否定できないでしょう。市場に円が溢れているからです。

日銀の金融緩和を考える

 
消費性向を考えると、アメリカの消費性向は日本よりかなり高いので経済回復は早く、そしてアメリカは経済回復により金融引き締めで貨幣量を減らし、日本は消費性向が低く経済回復が遅れ、今回の金融政策で貨幣量を増やした結果、急激な円安となっているのです。それにアメリカで貨幣量を減らしたことで、日本の安い金利の円を借りて円を売ってドルに換えるから円安になっているのです。そして市場投資をしていることでしょう。もう一つ考えられることは貿易赤字による円安もあるのか?でしょう。

この円安が日本国内の物価を押し上げることです。そうでないと輸入企業が負担することになり、輸入企業の業績に影響するからです。また、年金資産を株式にシフトしたこともあり株価の上昇になっています。しかし、アメリカで借りた円を手放す時が来た場合、円高株安が再びおとずれることは間違いないでしょう。EUでは貨幣量を増やしユーロ高を防ごうと対抗しているようですが、対ドルでの円安の影響を受けてユーロ高になっているようです。

この日本の金融政策の思惑が以上のことを認識しているかです。それは物価高デフレで悩んでいる日本は、価格競争で海外進出による海外投資で経済循環を損ない、また、コスト削減での非社員制度で40%程の労働者が犠牲になっていて、消費性向が低くなっていることを思うと、金融政策だけでなく価格競争による海外進出の反省をしないと、今後の日本経済は大変なことになるでしょう。特に為替・株価は上下するからです。そして、いずれアメリカもドル高でデフレによる経済が混とんとするのではないかと懸念できます。

 それには、金融だけではなく海外設備投資規制や、海外進出企業の国内シフトを進めないと、雇用と消費性向は上げられなく、デフレ脱却と財政再建は無理になるでしょう。要するに消費は国内総生産に影響し、国内総生産は雇用に影響し、その結果雇用が消費に影響するからです。よって消費を上げるには雇用促進が急務でしょう。

その国内雇用は重要な経済基本でしょう、経済の物、人、金が、現在の日本経済は、は円安による輸入物価高、海外進出による価格競争での雇用減退と、非正規社員制度による所得減少、は金融利益だけに頼る政策、経営・資本家政治家の力の強さ、というアンバランスなことが、日本経済の混乱を招き社会も混乱しているようです。物価の安定は為替の安定です。それに海外投資規制を再考する必要があると考えられます。

 国際協力を得て以上のことを是正しないと、明日の日本は見えないと考えられます。

 尚、輸出入には、ドル建てユーロ建て円建てなどがありますが、為替リスクを避け円建て輸入をすることがあります。その時は円安による物価高になりません。しかし輸入先の合弁会社や企業は損失をこうむりますので、全てが円建て輸入とは行かないはずです。もしそのような事を考えていたとすれば横暴の極まりだと言えるでしょう。

例として
1$100円の場合は1円で0.01$
1$120円の場合は1円で0.00833$
となるからで、円建てで円安になると、日本への輸出会社は損失になるのです。また合弁会社の場合は価格を下げようとリストラなどで雇用軋轢が生じ、国同士の溝も深くなることでしょう。為替レートの動きは海外との関係はゼロサムで、一方が得すれば必ず一方が損をするということです。

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