続、経済循環について

                        「有効需要から」
                                                       2014年3月


前章からケインズの有効需要からの貯蓄投資の所得決定説から考えますと、上図のように海外投資による国内生産の減退、所得の減退が消費不況を招き不況に陥っていたことが証明されていますが、再度そのことを考えてみます。
尚、このときの投資は株券や社債券を購入したり、土地を買ったりするのでは無く、企業が新しい工場設備を建設したり、消耗した設備を再築したりする投資です。」
上図から
所得=消費+貯蓄・・・(1)
所得=消費+投資・・・(2)
(1)と(2)から
消費+貯蓄=消費+投資となり。
故に
?貯蓄=投資となります。
 しかし、必ずしも貯蓄と投資が一致することはないのです。それは、起業家が新しい投資の断行を決意するもの、それは投資誘因ですが、その投資誘因は投下する資本の利潤率なのです。そして、この投資誘因は将来的なものなので、利潤を上げられる為の経済環境が重要なことになります。よってその時の状況で貯蓄=投資とはならないのです。あくまでも貯蓄=投資が経済の循環をよくする前提なのです。
この貯蓄>投資のときに不景気になるので、政府が財政投資や金融緩和で起業家に投資誘因を起こさせることになるのですが、日本は所得格差から家計所得のうち消費に回す消費性向は低いことで、国の経済政策が難しくしているようです。その上貯蓄から投資にいたる経過が、海外に流れていた結果国内企業の投資縮小で、経済が停滞していたことがわかるでしょう。
 以上のように、海外投資による国内投資誘因の低さや消費性向の低さが、現在、日本経済はその全てに鎖で縛られているように身動きが出来ない状況なのです。そして、過去から経済成長率だけに取り憑かれていることが、政府の公共投資に頼り、国の負債総額が一千兆を超すまでに増え、尚も増え続けるような状況が続いているようです。金融政策や公共投資だけではどうにもならない状況だと理解できるでしょう。
 速急に経済循環をよく考え将来の展望を開き、国内企業の雇用創出での拡大再生産による経済成長で財政再建を計ることです。言い変えれば海外投資規制で、雇用形態の改善、投資誘因である資本利潤率や家計所得を最善に考え、国内企業の活性化をはかる時がきたようです。価格競争や金融緩和策、公共投資だけでは経済再生は不可能だと考えるべきです。

円安による実体経済の影響 この項は2015年5月で修正(円安が進み120円に成ったためです、ここをクリックして下さい)   


(円安による為替差益と差損は、外貨が多い日本は圧倒的に差益ののほうが多い)

 金融で利益を上げようとする風潮は、物価高での経済の影響を考慮していないことが上図でわかるでしょう。すなわち金融で利益をあげようとするあまり消費性向を低下させ、物価高を消費が補えないことでデフレ不況になったのです。そして、国の負債が一千兆を超すほど増加していることは、金融での利益が経済に貢献していないあらわれで、物(物価)、人(賃金)、金(金融)が調和を保っていなかったのです。
 為替はその時、その時がベースになりますので、レートがこのまま安定すれば物価はそのままになり、為替差益、差損は発生しません。よって物価のことを考えると、これ以上の円安で金融利益を上げようとするのは期待できないでしょう。現在利益があがっているという一部の大企業は、この円安差益が主だと考えられますが、超金融緩和策での円安誘導は、上図のように物価高から賃金低下などでデフレとなり、政府の公共投資増額を誘発し負債が増加したことで勘違いだったのではと、また多くの非正規社員や派遣社員を増加させたのは、価格競争や金融利益のための犠牲になっていたのではと思わせられます。
 現在政府や大企業の一部は賃上げといっているようですが、多くの労働者の低賃金の底上げをしない限り消費は増えないでしょう。景気の気だけでは高額所得者の株式投資などの貯蓄は増えても、消費は増えないということで、日本は競争競争できた結果、この所得をおろそかにしてきたことが、経済の混迷を来してきたようです。物、人、金を調和した経済を考えて行かなければ、日本経済は再生できないということでしょう。
 また、80円から100円まで円安になり(2014年3月現在)、外貨を抱えた国や一部の大企業は大きな利益となってますが、先にのべました円安での物価高は、この賃金の底上げをする政策を真剣に取り組まないと、財政赤字で負債は増え続けるでしょう。
 国民が耐え忍んでいても、政財界、エコノミスト、マスメディアの変化と、力、努力がないと、経済の再生はないでしょう。それには国際的な協調協力が必要なはずです。 

円高による実体経済の影響



 上記の図のように、為替の変動である円安・円高は無策のままだと経済に悪影響を与えるようです。円高で輸入物価が安くなったとき、円安還元セールなどを傍観していた政治やエコノミスト、それにマスメデアはなにをしていたのか、今になって思うはずです。日本人は、とかく競争がすきなようで、それは聖書をしらないからでしょう。
為替の安定は最も重要なことで、且つ価格競争は日本経済を崩壊させることが分かる筈です。後進国の安い賃金を求め海外生産基地での生産による価格競争は、日本にとっても国際的にもデフレを誘発したのです。

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