2020年4月

価格競争崩壊のメカニズムにあたって

 

コロナ騒動は深刻化を増しています。そして経済対策を打とうとしています。それは非常に喜ばしい事と思います。いや、そうしなければ絶対に成らない時でしょう。それは、10月から12月の年換算7.1%の経済成長のマイナス化など経済の衰退をどう見ているのか、自分は2012年にこのことを追究していました。下記価格競争崩壊のメカニズムがそれです。いかに利潤が大切であるかと言う事を述べています。今までは倒産では無く金融やリストラで何とか乗り切って来た事は否めません。しかし少子高齢化人口減少や低賃金で働く労働不足と成って、日本経済は衰退を続け、金融政策だけに頼って来た結果、円は溢れ負債も増え続けている事を認識すべきと思っています。その結果相場が乱高下しています。このままだとコロナ問題も有って、やがて崩壊の道が訪れないように、根本的な経済対策をしなければならない時です。景気の気だけでは経済は成り立って行けない事を実務の上から経済を考えてみました。

 

              価格競争崩壊のメカニズム

 2012年9月
価格構成
         
 上図から価格競争による価格(売上高)の低下により利潤以外の諸項目(製造・販売原価)が一定だとすれば利潤が減り利潤率は低下します。また、販売するとき利潤がなくなるほどの価格を下げ販売すれば、当然原価割れとなり赤字となります。しかし、利潤の中には価格・売上高に入らない営業外の損益(投機的な損益や評価損益)が入りますので利潤は販売と関係なく増加減少します。
 それが現在長期的な価格競争によるデフレで、利潤を下げないように原材料・仕入商品、を安くするように安い労賃の海外生産にはいり、海外投資で所得の配分が海外に流れ、また、国内では価格の低下で利潤を上げるため労務人件費を下げるので個人の所得が減り、加えて財政削減により消費の停滞で、ますます長期的なデフレとなっているのです。


利潤(利益)構成


「訂正します.。上記の利潤構成のうち借入返済は誤りで利潤構成には入りません」詳細は内部留保とバブル処理をご覧ください

 上図の利潤構成は税金や資本家に支払われる配当金と、余剰利益(内部留保)で、余剰利益は現預金、海外投資を含め設備投資、債券投資等の資産として残ります。また、利潤の中に巨額の損失を繰り延べる繰延費用も含まれます。それに、評価利益があると税金が多くなり余剰利益が減ります。逆に評価損があるとその逆になりますが、利潤の絶対額(大きさ)は当然増減します。そして、借入金返済は利潤の増減に関係なく不変ですので、利潤を上げないと返済できなくなるということです。

資金構成


 上図が価格構成の原価と利潤構成の部分が資金構成をつかさどり、上図の利潤の増減で資金需要、供給が決まりますが、この他に製品商品在庫の増加や回収不足での債権がふえると当然資金需要が増え、資金(資本)不足となり資金供給が必要となります。
 以上の利潤が減少または赤字で利潤を失えばば当然、税金・配当金ができなくなり、かつ投資等の借入れの返済が滞り、長期的に借入等の負債が増え続け、そして倒産破産することになります。
 これまで、構造改革の名のもとに価格競争をし、想像を絶する倒産を経験してきました。しかし、まだ、今のままでいれば恐慌当時のように利潤率の低下が売上げ数量を増そうとするので、需要より供給が上回り物があふれかえり、企業は在庫の増加となって資金需要が増し、利潤の低下が返済不能となり、再び倒産が増えていくでしょう。
以上が、利潤と対価格・売上高比の利潤率の低下による価格競争(デフレ)破綻のメカニズムです。   
 世界大恐慌のときは大量生産による物あふれでの倒産で失業者があふれ、また、国の第一次大戦の戦費での保証で資金が行きづまって恐慌に陥ったという説があるようです。しかし、ほんとうのところは自由競争で機械化が進んで大量生産となり、量的に供給>需要となって、物余りと価格競争で利潤が上げられずに倒産失業が増え大恐慌に陥ったのです。マルクスが考察した自由競争による利潤率の低下が資本主義を崩壊させると、まさに世界大恐慌は資本主義の崩壊だったのです。しかし共産国はその大恐慌に巻き込まれなかったことは、まさにマルクスの考察を証明したのです。その恐慌から復活したのは、経済学者ケインズなどにより資本主義は蘇ったのですが、今の日本をみると歴史に酷似していると思うのです。
 価格競争をするのではなく技術競争は必要でしょう。しかし、これも、調和ある国際関係を築くには当然哲学が必要なはずです。なぜなら競争本能だけではなく人間には他の動物と違って理性があるからです。神が、キリスト教が、経済学哲学の根底にあるのを認識すべきで、アダムスミスの国富論の「神の見えざる手」と資本論1(岩波文庫マルクス・エンゲルス編306p)に表現されています。それはけっして自由放任の経済社会を説いたのではないことを学ぶべきだと思います。また、ケインズの貯蓄投資の所得決定説から発展させたハンセンのデフレギャップや、マルクスを分析したロビンソン経済学などを参考にすべきだと考えます。
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